プレスリリースの書き方を基礎から実践まで徹底解説

「プレスリリースを書いてほしい」と突然頼まれて、何から手をつければいいのか分からない。そんな経験をお持ちの方は、決して少なくありません。

実は、メディアの記者や編集者のもとには、毎日大量のプレスリリースが届いています。その中で目を通してもらい、さらに記事として取り上げてもらうためには、単に情報を並べるだけでは不十分です。記者が「これはニュースになる」と感じる構成と書き方のルールが存在します。

これまで多くのプレスリリース作成に携わってきた中で気づいたのは、「正しい型」を知っているかどうかで結果が大きく変わるということです。逆に言えば、型さえ身につければ、初めての方でもメディアに響くプレスリリースを書くことは十分に可能です。

この記事で学べること

  • プレスリリースは「逆三角形構造」の6要素で構成され、順番を間違えると読まれない
  • タイトルは30〜50文字が最適で、記者が読み続けるかの判断はここで決まる
  • リード文は400文字以内に5W1Hを凝縮し、本文を読まなくても内容が伝わる設計にする
  • 1文50文字以内・本文8,000文字以内という「読まれる文章」の数値基準がある
  • 主観的な自己評価や美辞麗句は記者に嫌われる最大の原因になる

プレスリリースの基本構成と逆三角形の考え方

プレスリリースには、メディア業界で広く共有されている「型」があります。

この型は「逆三角形構造」と呼ばれ、最も重要な情報を冒頭に置き、詳細を後半に配置する構成。新聞記事と同じ原則です。記者は冒頭だけで「記事にする価値があるか」を判断するため、この構造を守ることが大前提になります。

具体的には、以下の6つの要素で構成されます。

①発信日・発信者情報
リリース日と会社名(正式名称)を記載。信頼性の土台となる要素です。

②タイトル(見出し)
記者が読み進めるかを決めるゲートウェイ。30〜50文字が目安です。

③リード文
5W1Hを400文字以内にまとめた要約。忙しい記者はここだけで判断します。

④本文
背景情報、詳細データ、開発経緯などの補足情報を展開します。

⑤会社概要
企業の基本情報を簡潔に。初めて知る記者への自己紹介の役割です。

⑥問い合わせ先
メディアが取材・確認のために連絡できる窓口情報です。

加えて、写真や動画などのビジュアル素材を添付することも効果的です。特にWebメディアでは画像の有無が掲載率に影響するため、可能な限り用意しておくことをおすすめします。

記者の目を引くタイトルの書き方

プレスリリースの基本構成と逆三角形の考え方 - プレスリリース 書き方
プレスリリースの基本構成と逆三角形の考え方 – プレスリリース 書き方

プレスリリースにおいて、タイトルは最も重要な要素と言っても過言ではありません。

記者が毎日受け取る大量のリリースの中で、タイトルだけを見て「読むか、読まないか」を瞬時に判断しているからです。

タイトルの文字数と基本ルール

最適な文字数は30〜50文字。この範囲を超えると、メール一覧やリリース配信サイトの表示で途中が切れてしまいます。

タイトルに盛り込むべき要素は、以下の通りです。

  • 何についてのリリースかが一目で分かること
  • ニュースバリュー(新しさ・社会的意義)が伝わること
  • 5W1Hの要素をできる限り含めること
  • 客観的な事実に基づいた表現であること

新商品発表の場合は、商品名・発売日・主な特徴の3点を盛り込むのが基本形です。

タイトルで避けるべき表現

⚠️
タイトルでの注意事項
「業界初」「No.1」「最も人気」などの最上級表現を使用する場合は、必ず客観的な根拠と出典を明記してください。例:「※20XX年〇月当社調べ」。根拠のない誇張表現は、記者の信頼を一瞬で失います。また、広告コピーのような煽り文句や主観的な評価も避けましょう。

個人的な経験では、タイトルに「画期的」「革命的」といった大げさな形容詞を使ったリリースは、記者にほぼスルーされる傾向があります。事実を淡々と、しかし魅力的に伝える。このバランスが大切です。

良いタイトルと悪いタイトルの比較

具体例で見てみましょう。

良いタイトル例

  • 〇〇社、AI搭載の翻訳アプリ「△△」を4月1日に提供開始
  • 中小企業向けクラウド会計ソフト「□□」月額980円で新登場
  • 全国500店舗で食品ロス削減プロジェクトを開始

悪いタイトル例

  • 画期的な新サービスが誕生!業界の常識を覆す革命的アプリ
  • ついに完成!お客様の声から生まれた最高のソフト
  • 弊社の想いが詰まった感動のプロジェクトについて

良いタイトルには共通点があります。「誰が」「何を」「いつ」という事実が具体的に書かれていることです。

リード文の書き方と5W1Hの活用法

記者の目を引くタイトルの書き方 - プレスリリース 書き方
記者の目を引くタイトルの書き方 – プレスリリース 書き方

タイトルの次に記者が読むのがリード文です。ここで「記事にする価値がある」と判断されなければ、本文まで読み進めてもらえません。

リード文に必要な5W1Hとは

リード文には5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を400文字以内に凝縮します。

これは単なるテクニックではなく、メディアの専門家が「ニュースバリューを評価する際に5W1Hの完全性を確認している」という事実に基づいています。つまり、5W1Hが欠けたリード文は、それだけで「情報が不十分」と判断されるリスクがあるのです。

さらに、内容によっては「How much(どのくらい)」や「価値・規模」の情報も加えると効果的です。

リード文の実践的な書き方

リード文を書く際のコツとして、本文を先に書き上げてから、その要約としてリード文を作成するという方法があります。

これは、全体像が見えていない段階で要約を書こうとすると、どうしても情報の過不足が生じるためです。本文で伝えたいことを整理した後に、そのエッセンスを凝縮する。この順番の方が、結果的に質の高いリード文になります。

💡 実体験から学んだこと
以前、リード文から先に書く方法を試していた時期がありましたが、本文を書き終えてから「リード文と内容がずれている」と気づくことが何度もありました。今では必ず本文を先に完成させ、最後にリード文を仕上げるようにしています。この順番に変えてから、修正の手戻りが大幅に減りました。

リード文のテンプレート

実際に使えるリード文のテンプレートをご紹介します。

【会社名】(本社:〇〇、代表取締役:△△)は、【日付】より、【商品・サービス名】を【提供方法】にて【開始/発売】いたします。本【商品/サービス】は、【背景・課題】に対応するもので、【主な特徴】が特長です。

— 新商品・新サービス発表時の基本テンプレート

このテンプレートには、Who(会社名)、When(日付)、What(商品名)、How(提供方法)、Why(背景)が自然に組み込まれています。

本文の書き方と読まれるための文章ルール

リード文の書き方と5W1Hの活用法 - プレスリリース 書き方
リード文の書き方と5W1Hの活用法 – プレスリリース 書き方

リード文で興味を持った記者が、次に読むのが本文です。ここでは、情報の深さと読みやすさの両立が求められます。

本文の構成パターン

本文は「結論→背景→詳細→展開」という流れで構成するのが基本。一般的な文章の「起承転結」とは異なり、結論を最初に持ってくる点が特徴です。

1

結論(結)

最も伝えたい核心情報をまず提示する

2

背景(起)

なぜこのリリースに至ったのか、社会的背景や課題を説明

3

詳細(承)

商品・サービスの具体的な内容やスペックを展開

4

展開(転)

今後の展望、関連情報、読者への影響を補足

新商品リリースの場合は、「詳細」のパートに開発の背景(開発の背景)を必ず含めましょう。「なぜこの商品を作ったのか」というストーリーは、記者が記事を書く際の重要な素材になります。

読みやすい文章の数値基準

プレスリリースの本文には、明確な数値基準があります。

50文字
1文の上限目安

400文字
リード文の上限

8,000文字
本文全体の上限

特に重要なのは「1文50文字以内」というルール。これは約3行に相当し、それ以上長くなると読み手の理解度が著しく低下します。

意味が通じる範囲で、不要な言葉は徹底的に削りましょう。

本文で守るべき表現ルール

読みやすさを高めるために、以下のポイントを意識してください。

本文の表現チェックリスト

プレスリリースの品質を左右する「ニュースバリュー」の考え方

構成や文字数のルールを守っても、そもそも「ニュースとしての価値」がなければメディアに取り上げてもらえません。

ニュースバリューとは、簡単に言えば「記者が記事にしたいと思える要素」のことです。

ニュースバリューを高める5つの要素

記者が「これは記事にする価値がある」と判断する主な要素は以下の通りです。

  • 新規性:業界初、日本初、世界初などの「初めて」の要素
  • 社会性:社会課題の解決や、多くの人に影響を与えるテーマ
  • 時事性:今の社会トレンドや季節イベントとの関連性
  • 意外性:常識を覆すデータや、予想外の組み合わせ
  • 規模感:具体的な数字で示される影響の大きさ

これらの要素が複数含まれているほど、メディアに取り上げられる可能性は高まります。

自社のリリース内容に「なぜ今、これがニュースなのか」を問いかけることが、ニュースバリューを見つける第一歩。

ニュースバリューがない場合の対処法

「うちのリリースにはニュースバリューがない」と感じることもあるかもしれません。しかし、切り口を変えることで価値を生み出せるケースは多くあります。

例えば、単なる「新商品発売」であっても、「〇〇という社会課題に対して、△△という独自のアプローチで開発した」という背景を加えるだけで、ニュースとしての厚みが増します。

PR活動全般に言えることですが、「自社が伝えたいこと」ではなく「社会にとって意味があること」という視点で情報を整理すると、自然とニュースバリューが見えてきます。

記者に嫌われるプレスリリースの特徴と回避法

ここからは、よくある失敗パターンを具体的に見ていきましょう。これまでの取り組みで感じているのは、「やるべきこと」よりも「やってはいけないこと」を知る方が、結果に直結するということです。

主観的な自己評価と美辞麗句

プレスリリースで最も避けるべきは、主観的な自己評価や美辞麗句。

「画期的な」「革新的な」「お客様に愛される」といった表現は、書き手の主観であり、記者にとっては何の情報価値もありません。むしろ、「この会社は客観的な視点を持てない」という印象を与えてしまいます。

名文や美文を書く必要もありません。プレスリリースは文学作品ではなく、情報伝達のためのドキュメントです。

根拠のない楽観的予測

「今後、市場は急速に拡大する見込みです」のような根拠のない予測も避けましょう。

記者は事実を重視します。予測を含める場合は、具体的なデータや調査結果に基づいた控えめな表現を心がけてください。楽観的な見通しを書きたくなる気持ちは理解できますが、プレスリリースでは抑制が大切です。

情報の過不足

情報が多すぎるのも、少なすぎるのも問題です。

記者が記事を書くために必要な情報が揃っていないと、わざわざ問い合わせてまで取材してくれることは稀です。一方で、枝葉の情報が多すぎると、核心が埋もれてしまいます。

💡 実体験から学んだこと
ある企業のリリースを添削した際、本文に技術的な専門用語が30個以上含まれていました。開発チームが書いた原稿をそのまま使っていたのです。専門用語をすべて平易な表現に置き換え、文字数を40%削減したところ、同じ内容でもメディアからの反応が明らかに変わりました。「伝わる」と「書いてある」は全く別物だと実感した出来事です。

プレスリリース作成の実践ワークフロー

ここまでの知識を踏まえて、実際にプレスリリースを作成する手順を整理しましょう。

ステップ1:ニュースバリューの整理

まず、「このリリースで最も伝えたいことは何か」を1文で書き出します。

その上で、5W1Hの各要素を箇条書きで整理してください。この段階で5W1Hのいずれかが埋まらない場合は、情報収集が不足している可能性があります。

ステップ2:本文の執筆

「結論→背景→詳細→展開」の順番で本文を書きます。

この段階では完璧を目指す必要はありません。まずは必要な情報をすべて盛り込むことを優先しましょう。文字数の調整や表現の磨き上げは、次のステップで行います。

ステップ3:リード文の作成

本文が完成したら、その内容を400文字以内に凝縮してリード文を作ります。

5W1Hがすべて含まれているか、リード文だけで内容が理解できるかを確認してください。

ステップ4:タイトルの作成と全体の推敲

最後にタイトルを作成します。30〜50文字で、ニュースバリューが一目で伝わる表現を目指しましょう。

全体を通して読み返し、以下の点をチェックします。

  • 1文が50文字を超えていないか
  • 主観的な表現が混じっていないか
  • 専門用語が残っていないか
  • 数値データの出典は明記されているか
  • 全体で8,000文字以内に収まっているか

配信タイミングと送付先の選び方

優れたプレスリリースを書いても、配信のタイミングや送付先を間違えると効果は半減します。

配信に適したタイミング

一般的に、プレスリリースの配信は火曜〜木曜の午前中が効果的とされています。

月曜は週明けの業務で記者が多忙であり、金曜は翌週に持ち越されるリスクがあるためです。また、年度末(3月)や年末年始、ゴールデンウィーク前後は、メディア側も繁忙期のため、通常より反応が得にくい傾向があります。

経験上、大型連休を挟む場合は、余裕を持ったスケジュールで配信することをおすすめします。

配信方法の選択肢

プレスリリースの配信方法には、大きく分けて3つの選択肢があります。

  • プレスリリース配信サービス:PR TIMESやValuePressなどのプラットフォームを利用する方法。幅広いメディアに一括配信できます。
  • 直接送付:ターゲットとなる記者や編集部に個別にメールで送る方法。関係構築にもつながります。
  • 記者クラブへの投函:業界の記者クラブに資料を持ち込む方法。特に行政関連や業界団体のリリースで有効です。

どの方法が最適かは、リリースの内容やターゲットメディアによって異なります。個人的には、配信サービスと直接送付を組み合わせるアプローチが、最も効率的だと感じています。

ビジュアル素材の準備

配信時には、本文とあわせてビジュアル素材を添付しましょう。

Webメディアでは特に画像の有無が掲載の判断材料になることがあります。商品写真、サービスのスクリーンショット、代表者の顔写真など、記事に使える高解像度の画像を用意しておくと、記者の手間を減らすことができます。

画像のファイル形式はJPEGまたはPNG、解像度は300dpi以上が望ましいです。

種類別のプレスリリースの書き方のポイント

プレスリリースの基本構成は共通ですが、リリースの種類によって強調すべきポイントは異なります。

新商品・新サービス発表

最も一般的なタイプのプレスリリースです。

タイトルには商品名・発売日・主な特徴を必ず含めます。本文では「開発の背景」を丁寧に書くことが重要です。「なぜこの商品を作ったのか」「どんな課題を解決するのか」というストーリーが、記者の関心を引きます。

商品スペックは箇条書きで整理し、価格・販売チャネル・発売日などの基本情報を漏れなく記載してください。

イベント・キャンペーン告知

イベントやキャンペーンの告知では、「参加者にとっての価値」を明確にすることが大切です。

開催日時、場所、参加方法、参加費などの基本情報に加えて、「なぜこのイベントを開催するのか」という背景も忘れずに。単なる告知ではなく、社会的な文脈と結びつけることで、ニュースバリューが高まります。

調査結果・データ発表

自社で実施した調査やアンケートの結果を発表するタイプです。

このタイプは、データの客観性と信頼性が命です。調査方法、対象者数、実施期間を必ず明記し、プレスリリースとは何かという基本に立ち返って、事実ベースの記述を徹底しましょう。

グラフや図表を添付すると、記者がそのまま記事に使いやすくなるため、掲載率の向上が期待できます。

業務提携・資本提携

提携リリースでは、「この提携によって何が変わるのか」を読み手の視点で書くことがポイントです。

両社の概要、提携の目的、具体的な取り組み内容、今後のスケジュールを明確に記載します。業界への影響や、エンドユーザーにとってのメリットも触れると、記事化の確率が上がります。

プレスリリース作成前の最終チェックリスト

配信前に、以下のチェックリストで最終確認を行いましょう。

配信前の最終チェックリスト










このチェックリストを配信前に毎回確認する習慣をつけるだけで、プレスリリースの品質は確実に向上します。

よくある質問

プレスリリースとニュースリリースの違いは何ですか

基本的に同じものを指します。「プレスリリース」は報道機関(プレス)向けの発表資料という意味で、「ニュースリリース」はニュース素材としての発表資料という意味です。企業によって呼び方が異なるだけで、構成や書き方のルールは共通です。近年はPRとは何かという文脈の中で、「ニュースリリース」と呼ぶ企業も増えています。

プレスリリースの作成にどのくらい時間がかかりますか

経験上、初めての方であれば情報収集を含めて3〜5営業日程度を見込んでおくことをおすすめします。慣れてくれば1〜2日で作成できるようになりますが、社内の確認フローや法務チェックを含めると、全体で1〜2週間は余裕を持ったスケジュールが現実的です。年度末や大型連休前は、通常より20〜30%程度余裕を持つと安心です。

プレスリリースの配信にかかる費用はどのくらいですか

配信サービスを利用する場合、1回あたり数万円〜が一般的な相場です。月額契約プランを提供しているサービスもあります。一方、記者への直接送付やメール配信であれば、基本的に費用はかかりません。ただし、直接送付の場合はメディアリストの構築や関係づくりに時間と労力が必要です。予算と目的に応じて使い分けることが大切です。

メディアに取り上げてもらえない場合はどうすればいいですか

まず、ニュースバリューの見直しを行いましょう。「自社にとっての重要性」と「社会にとっての重要性」は異なります。次に、タイトルとリード文が記者の立場で魅力的かどうかを第三者に確認してもらうことも効果的です。また、配信先メディアの選定が適切かどうかも見直してみてください。業界専門メディアの方が、総合メディアよりも取り上げてもらいやすいケースは多くあります。フォローアップとして、配信後に記者へ電話で補足説明を行うことも一つの方法です。

プレスリリースにSEO対策は必要ですか

配信サービスを通じてWeb上に公開されるプレスリリースであれば、SEOを意識することは有効です。タイトルや本文に適切なキーワードを含めることで、検索経由での流入が期待できます。ただし、SEOを意識するあまり不自然なキーワードの詰め込みを行うと、記者からの印象が悪くなります。あくまで「記者が読みやすい文章」を最優先にし、その上で自然にキーワードが含まれている状態を目指しましょう。

プレスリリースの書き方は、一度身につければ長く使えるスキルです。この記事で紹介した基本構成、数値基準、品質ルールを守りながら、実際に書いてみることが上達への最短ルートです。最初から完璧を目指す必要はありません。チェックリストを手元に置いて、一つずつ確認しながら書き進めてみてください。回数を重ねるごとに、自然と「記者に読まれるリリース」が書けるようになるはずです。