プレスリリースとは簡単にわかる基本と活用の完全ガイド

「プレスリリース」という言葉、ニュースやビジネスの場面で耳にする機会は多いものの、実際にどういうものなのか、ぱっと説明できる方は意外と少ないかもしれません。
個人的な経験では、広報やPRの現場に関わり始めた頃、プレスリリースと広告の違いすら曖昧だった時期がありました。しかし、その仕組みを正しく理解してからは、情報発信の考え方そのものが大きく変わりました。
この記事では、プレスリリースとは何かを、できるだけ簡単に、そして実務に役立つレベルまで丁寧に解説していきます。
この記事で学べること
- プレスリリースは「広告」ではなく「報道向けの公式情報提供」であるという本質
- 企業の信頼性向上やメディア露出に直結する具体的な5つのメリット
- 広告費をかけずにテレビや新聞に取り上げられる可能性がある理由
- 初めてでも迷わないプレスリリースの基本構成と書き方のポイント
- 配信タイミングを間違えると効果が半減する落とし穴と対策
プレスリリースとは何か簡単に解説
プレスリリースとは、企業や団体がメディア(新聞社・テレビ局・Webメディアなど)に向けて、自社の新しい情報を公式に発信する文書のことです。
もう少し簡単に言えば、「うちの会社でこんな新しいことが始まりました」とマスコミに正式にお知らせする手紙のようなもの。です。
ここで重要なのは、プレスリリースの相手は「一般消費者」ではなく「報道関係者」だという点です。記者や編集者がその情報を見て「これはニュースとして価値がある」と判断すれば、記事やニュースとして取り上げてもらえます。
つまり、広告のようにお金を払って掲載するのではなく、情報の価値そのもので勝負する仕組みです。
プレスリリースの語源と意味
「プレスリリース」は英語の「Press Release」がそのまま日本語になったものです。
「Press」は報道機関、「Release」は公開・発表を意味します。直訳すると「報道機関への情報公開」となります。日本語では「報道発表資料」や「ニュースリリース」とも呼ばれますが、基本的にはすべて同じものを指しています。
ニュースリリースとプレスリリースの違いを気にされる方もいますが、実務上はほぼ同義語として使われています。
プレスリリースと広告の決定的な違い
プレスリリースを理解するうえで最も大切なのが、広告との違いです。
この2つは混同されやすいのですが、本質的にまったく異なる情報発信手段です。
プレスリリース
- 対象はメディア(報道関係者)
- 掲載は無料(記者の判断次第)
- 客観的な事実ベースで書く
- 第三者の報道として信頼性が高い
- 掲載の保証はない
広告
- 対象は一般消費者
- 掲載には広告費が必要
- 自由な表現・訴求が可能
- 「広告」として認識される
- 費用を払えば確実に掲載される
プレスリリースで得られるメディア掲載は、広告と違って「第三者による報道」という形になるため、読者からの信頼度が格段に高くなります。これが、多くの企業がプレスリリースに力を入れる最大の理由です。
プレスリリースを出す5つのメリット

プレスリリースがどういうものかわかったところで、具体的にどんなメリットがあるのかを見ていきましょう。
広告費をかけずにメディア露出が得られる
プレスリリースの最大の魅力は、費用をかけずにテレビ・新聞・Webメディアに取り上げてもらえる可能性があることです。
テレビCMや新聞広告は数百万円〜数千万円の費用がかかることも珍しくありません。一方、プレスリリースは配信サービスを利用しても数万円程度、自社で直接メディアに送る場合は実質無料です。
特に予算が限られているスタートアップや中小企業にとって、プレスリリースは最もコストパフォーマンスの高い情報発信手段の一つ。と言えます。
企業の信頼性とブランド力が向上する
メディアに取り上げられることは、企業の社会的信用を高めます。
「〇〇新聞で紹介されました」「テレビで特集されました」という実績は、取引先や顧客からの信頼獲得に大きく貢献します。これは広告費では買えない価値です。
SEO効果でWebからの集客が増える
プレスリリースがWebメディアに掲載されると、自社サイトへの被リンクが増える可能性があります。
これは検索エンジン最適化(SEO)の観点からも大きなメリットです。権威性の高いメディアからのリンクは、自社サイトの検索順位向上に好影響を与えます。
ステークホルダーへの公式な情報伝達手段になる
プレスリリースは、株主・投資家・取引先・従業員など、さまざまなステークホルダーに対する公式な情報発信の役割も果たします。
上場企業であれば、IR(投資家向け広報)の一環として、経営に関する重要な情報をプレスリリースで発表することが一般的です。
情報の二次拡散が期待できる
一つのメディアに取り上げられると、そこから他のメディアやSNSに情報が拡散していく効果があります。
いわゆる「バイラル効果」です。特にSNS時代においては、一本のプレスリリースがきっかけで、想定以上の認知拡大につながるケースも増えています。SNS分析を活用すれば、その拡散効果を数値で把握することも可能です。
プレスリリースの対象になる情報とは

「プレスリリースを出したいけれど、うちの情報はニュースになるのだろうか」と悩む方は多いです。
実は、プレスリリースの対象は思った以上に幅広いものです。
プレスリリースの主な対象テーマ
このほかにも、社会貢献活動(CSR)、資金調達、商標登録の取得、新技術の開発、海外展開の発表など、「社会的にニュース価値がある情報」であれば、プレスリリースの対象になり得ます。
ポイントは、「自社にとって重要」ではなく「社会やメディアにとって価値がある」という視点で情報を選ぶこと。です。
プレスリリースの基本構成と書き方

プレスリリースには、メディア関係者が読みやすいように、ある程度決まった構成があります。初めて作成する方でも、この基本フォーマットに沿えば形になります。
タイトル
最も重要な要素。30文字前後で、何が起きたのかを一目で伝える。
リード文
5W1H(誰が・何を・いつ・どこで・なぜ・どのように)を簡潔にまとめる。
本文
背景・詳細・データなどを客観的な事実ベースで記述する。
会社概要・問い合わせ先
社名・所在地・代表者・連絡先など、メディアが取材時に必要な情報。
タイトルの書き方のコツ
記者は毎日大量のプレスリリースを受け取っています。その中で目を止めてもらうには、タイトルが命です。
効果的なタイトルのポイントは以下の通りです。
具体的な数字を入れる:「売上30%増」「累計10万人突破」のように、数字があると目を引きます。
新規性を明確にする:「業界初」「日本初上陸」「新開発」など、何が新しいのかを明示します。
社会的な文脈をつける:「働き方改革に対応」「SDGs推進の一環として」のように、社会的な意義を示すと記者の関心を引きやすくなります。
プレスリリースの書き方については、より詳しいテクニックもありますが、まずはこの3つを意識するだけで大きく変わります。
本文で避けるべき表現
プレスリリースの配信方法
プレスリリースを作成したら、次はメディアに届ける必要があります。主な配信方法は3つあります。
プレスリリース配信サービスを利用する
最も一般的な方法は、PR TIMESや@Pressなどの配信サービスを利用することです。
これらのサービスは、登録されている数千〜数万のメディアに対して、一斉にプレスリリースを届けてくれます。費用は1配信あたり数万円程度が相場です。
配信サービスのメリットは、自社でメディアリストを持っていなくても幅広いメディアにリーチできること。特に広報体制が整っていない中小企業やスタートアップには心強い味方です。
メディアに直接送付する
特定のメディアや記者に直接プレスリリースを送る方法もあります。
業界専門メディアや、自社の分野をカバーしている記者に対して、メールやFAXで個別に送付します。大手メディアの場合は、各社の広報窓口やプレスリリース受付メールアドレスが公開されていることが多いです。
直接送付は手間がかかりますが、記者との関係構築につながるため、長期的な広報戦略としては非常に有効です。
記者会見・記者発表会を開催する
大きなニュースの場合は、記者会見や記者発表会を開催して直接情報を伝える方法もあります。
ただし、これは一定の規模や話題性がある情報に限られます。中小企業の場合は、配信サービスや直接送付をメインに、必要に応じて記者向けの説明会を検討するのが現実的でしょう。
プレスリリースの効果を高める配信タイミング
同じ内容のプレスリリースでも、配信するタイミングによって成果が大きく変わります。
曜日と時間帯の選び方
一般的に、プレスリリースの配信は火曜日〜木曜日の午前10時〜11時が最も効果的とされています。
月曜日は週明けで記者が忙しく、金曜日は翌週に持ち越されやすいためです。また、午前中に配信すると、その日のうちに記事化される可能性が高まります。
ただし、業界やメディアの特性によって最適なタイミングは異なります。たとえば、エンタメ系のニュースは夕方の配信でも問題ないケースがあります。
避けるべきタイミング
大きなニュースが予想される日(国会の重要審議、大型イベント、大企業の決算発表日など)は、自社のプレスリリースが埋もれてしまう可能性があります。
また、年末年始やゴールデンウィーク、お盆の時期は、メディアの体制が手薄になるため、フォローアップも含めて計画的にスケジュールを組むことが大切です。
プレスリリースとPRの関係性
プレスリリースは、PR(パブリック・リレーションズ)活動の一部として位置づけられます。
PRとは、企業や団体が社会との良好な関係を構築・維持するための活動全般を指します。プレスリリースはその中でも、メディアを通じた情報発信という重要な手段です。
ただし、PRの範囲はプレスリリースだけにとどまりません。SNSでの発信、イベントの開催、社会貢献活動、危機管理対応なども含まれます。
プレスリリースはPR活動の「入り口」として最も取り組みやすい施策であり、広報活動の第一歩として最適です。
よくある質問
プレスリリースは個人でも出せますか
はい、個人事業主やフリーランスでもプレスリリースを出すことは可能です。ただし、メディアが取り上げるかどうかは、情報のニュース価値次第です。個人であっても、社会的に意義のある活動や画期的なサービスであれば、十分にメディアの関心を引くことができます。配信サービスの中には、個人向けの料金プランを用意しているところもあります。
プレスリリースを出すのに費用はかかりますか
プレスリリースの作成・送付自体は無料です。自分で作成してメディアに直接メールで送れば、一切費用はかかりません。ただし、配信サービスを利用する場合は1配信あたり3万円〜10万円程度の費用が発生します。また、プロのライターに作成を依頼する場合は、別途ライティング費用がかかります。
プレスリリースを出せば必ずメディアに掲載されますか
いいえ、掲載は保証されません。これが広告との最大の違いです。メディアの記者や編集者が「ニュース価値がある」と判断した場合にのみ、記事として取り上げられます。掲載率を上げるためには、タイトルの工夫、配信タイミングの最適化、そしてメディアにとって価値のある情報を提供することが重要です。
プレスリリースとニュースリリースの違いは何ですか
実務上、プレスリリースとニュースリリースはほぼ同じ意味で使われています。厳密に言えば、プレスリリースが「報道機関向けの情報公開」を指すのに対し、ニュースリリースは「ニュースとしての情報公開」というニュアンスがあります。しかし、現在ではどちらの用語を使っても問題ありません。企業によって使い分けている場合もありますが、内容や形式に違いはありません。
プレスリリースはどのくらいの頻度で出すべきですか
明確な決まりはありませんが、月に1〜2回程度が一つの目安です。重要なのは頻度よりも質です。ニュース価値の低い情報を頻繁に送り続けると、メディアからの信頼を損なう可能性があります。「本当に伝える価値がある情報」に絞って、質の高いプレスリリースを定期的に配信するのが理想的です。新年度や決算期など、プレスリリースを出しやすいタイミングを年間スケジュールに組み込んでおくと、計画的に進められます。
まとめ
プレスリリースとは、簡単に言えば「企業がメディアに向けて公式に情報を発信する文書」です。
広告とは異なり、掲載費用がかからず、第三者の報道として高い信頼性を得られるのが最大の特徴です。新商品の発表、事業提携、イベント開催など、社会的にニュース価値のある情報であれば、企業規模を問わず活用できます。
まずは自社の「伝える価値がある情報」を整理するところから始めてみてください。基本構成に沿って一本書き上げてみると、プレスリリースの仕組みが体感として理解できるはずです。
広報活動の第一歩として、プレスリリースは最も取り組みやすく、かつ効果の大きい手段の一つです。この記事が、みなさんの情報発信のきっかけになれば幸いです。