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子どもたちを放射能から守るために。はかる、知る。「放射線見える化プロジェクト」

放射線を「見える化」するために その2

2013 年 09 月 28 日 14:25

こどもみらい測定所
こどもみらい測定所
放射線は致死量を遥かに上回るような非常に強いものでない限り、肉眼でその存在を捉えることはできません。その見えない放射線を「見える化」するために様々な機材が考えだされてきました。今回はそれらの種類や特徴をダイジェストでご紹介いたします。

見えない放射線を可視化する機材

1. X線望遠鏡

 宇宙空間には様々な天体が存在しています。通常夜空に見える星々。これらは天体からの可視光線を「見ている」訳です。可視光線の他に電波やX線を放出している天体があります。

 この遠い天体からのX線を観測、画像化するための機材が「X線望遠鏡」です。天体からのX線は大気で吸収され、地表まで届きませんから宇宙空間で観測しなければなりません。

 日本ではJAXAが打ち上げたX線天文衛星「すざく」に搭載され、運用されています。
http://www.isas.jaxa.jp/j/special/2008/suzaku/22.shtml 

 これは天体望遠鏡のX線版ですから非常に高い空間分解能を持っています。
http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2006/1206.shtml 

 このX線望遠鏡を地上に持ってきたらマイクロホットスポットの可視化が出来るでしょうか? 残念ながらできません。X線は、γ線と同じ電磁波です。しかしγ線に比べてエネルギーが弱く透過力が弱いのです。放射性セシウムから放出されるγ線は、より高エネルギーなため透過力が強すぎて、X線望遠鏡では画像化できないのです。

2. ガンマカメラ

 X線より高エネルギーで透過性の高いγ線を可視化する機材として「ガンマカメラ」というものがあります。主な方式としてコリメータ型、ピンホールカメラ型、コンプトンカメラ型があります。

2-a. コリメータ型ガンマカメラ

 シンチグラフィーやSPECT検査という、特定臓器やがん細胞などに集まる短半減期の放射性物質で標識された薬剤を数百万ベクレル投与した後、体内の放射性物質の分布を画像化する画像診断装置に使用されている他、前述のX線天文衛星「すざく」にも硬X線からγ線領域の観測機材(硬X線検出器)として搭載されてます。また除染支援機材としても使われている方式です。

[ガンマカメラとSPECT装置]
http://www.asca-co.com/nuclear/2009/03/-spect.html 

[「すざく」の硬X線検出器]
http://www.isas.jaxa.jp/j/special/2008/suzaku/19.shtml 

[セシウムカメラ®500 関西電子]
http://www.kansaidenshi.co.jp/krm3/pdf/IPL.pdf 


 通常のコリメータ型ガンマカメラでは複数のコリメータを2次元配列して使用しますが、単一のコリメータでγ線の飛来方向を特定する「簡易型ガンマカメラ」ともいえる装置が、マイクロホットスポットの可視化目的で研究されています。

[水野先生の簡易型ガンマカメラ]
http://togetter.com/li/469210 

2-b. ピンホールカメラ型ガンマカメラ

 除染作業支援機材として使用されています。

[ガンマカメラ 東芝科学館]
http://kagakukan.toshiba.co.jp/manabu/sci_tech/kaitai/ganma_j.html 

2-c. コンプトンカメラ型ガンマカメラ

 これも除染作業支援機材として使用されています。

[コンプトンカメラ 浜松ホトニクス株式会社他]
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20130910/index.html 

 マイクロホットスポットから数メートル離れた状態で線量分布の画像化、可視化ができるため、除染作業にも使用されているこれら各種のガンマカメラにも弱点があります。

 まず、重量です。コリメータ型、ピンホールカメラ型共に重い遮蔽体が必須なため軽量化に限界があり、軽いものでも10kg程となってしまい、携行運用が困難です。原理的に遮蔽体不要なため画期的な軽量化ができたコンプトンカメラ型でさえ1.9kgあります。

 また、簡易型ガンマカメラを除き、1台の測定器に多数の検出器が必要なため、低価格化に限界があります。上記のピンホールカメラ型で1台2,500万円程度、コンプトンカメラ型で1,000万円程度という高価な機材となっています。

3. ホットスポットファインダーのエリアレコーダーモード

 ガンマカメラのように離れたところから線量分布を可視化するのではなく、ホットスポットファインダーの高感度検出器の性能をフルに生かして、表面線量を直接測定、記録し、迅速に線量分布を可視化するというコロンブスの卵的発想転換から生まれました。

 以下仕組みを紹介します。

 ホットスポットファインダーのタブレットPCに小型カメラを接続し、小型カメラを三脚に固定します。カメラで撮影された画像をタブレットPCでモニターしながら画像の視野内にホットスポットファインダーの検出器を持っていきます。その状態でタブレットPCの画像上の検出器をタップすると、そのときの線量率が測定され画像中に記録されます。検出器を少し移動させ測定&記録を繰り返していきます。

 利点としては、上記ガンマカメラに比較して、ホットスポットファインダーが大幅に安価(HSF-1で130万円)で、軽量(HSF-1検出器で320グラム)ということが挙げられます。またエリアレコーダーモードは、GPSの測位精度と空間分解能を遥かに上回る、数十センチ単位での線量分布を可視化する能力があります。

 弱点としては、マイクロホットスポットと思しき箇所を直接測定しなければならないので、手の届かないところは測定できない、あまりにも高線量のマイクロホットスポットを直接測定することはあまり好ましいことではない、という点でしょうか。 (前田)
雨樋下にできたマイクロホットスポットの線量分布をエリアレコーダーモードで画像化したもの(表面線量率,単位はμSv/h)

雨樋下にできたマイクロホットスポットの線量分布をエリアレコーダーモードで画像化したもの(表面線量率,単位はμSv/h)


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